確実に病気から逃げている? [こころね]
獣医師免許を取得してから、
動物を治療したのはわずかに2件・・・
子供が小さかったころに飼っていたハムスターの治療をしただけ・・・
1匹はお店で買ってきたハムスターがすでに下痢をしており、もう出すものを出し切ったという時に、
小児用下痢止め(俗に言うマルピー下痢止め)をちょっと水で練って割り箸に付けてなめさせた。
復活したハムスターは3年以上長生きしました。
(お店では、同じケージの中で売られていたハムスターは全滅していました。)
もう1匹は、ハムスターにも長生きすると乳腺腫瘍を発生するものが多く、
腫瘍の切除をしてあげました。(糸で根本を縛っただけですけど・・・)
難産で出血して死亡したハムスターがいました。
この時は、息子に「おかあさん!動物のお医者さんなんだから助けて!」 っと号泣されて、
「こういう小さな動物はちょっと血が出ただけで助からないんだよ。人間にとってはちょっとと思っても、この子にとっては体の半分以上の血が出ているんだよ。助けるためには輸血をしてあげないと。血液型が一致する血もないでしょ」 などと言って、見ているだけでした。
当然、息子には呆れられました。
開業している訳ではないので、自宅には薬も器材もありません。(いい訳ですが・・・)
獣医ってこんなものですか?って誤解をまねきそうですが・・・
実際、仕事で使用した実験動物の数は計り知れない。
医薬品の安全性試験、農薬の毒性試験・・・
致死量を調べる試験や、奇形が発現するかどうかを調べる試験をしていました。
農薬等の毒性試験では「有機リン系殺虫剤」等あの「地下鉄サリン事件」のサリンより毒性は弱いものですが、実際に防毒マスクをして試験したものもありました。
抗腫瘍性抗生物質(抗癌剤)の試験もしました。
この抗癌剤は今では様々な腫瘍の治療に用いられています。
投与直後から症状を発現する有機リンとは異なり、最初は特に症状は認めず、投与後1週間に動物室に入ったときに一斉に脱毛し始めたのには、予想した事とは言え驚きました。
だらだらと死亡が続くので、観察期間を2週間延長し、4週間としたのです。印象深い試験でした。
この抗癌剤のお世話になるかもしれない・・・
実施した試験の中には陽性対照薬として、必ず、既知の染色体異常誘発物質や、抗原性物質を使用するものもありました。
ケミカルハザード対策は今の設備から言うと万全とは言えない・・・?
現在は自分では動物を扱うことはなく、事務職として仕事をしています。
獣医らしい仕事のひとつとして「病性鑑定」 があげられます。
鶏や豚の飼育農場で病気が発生したとき、その病因を検索するため、いろいろな検査をします。
私のところへ、ウイルス、細菌、寄生虫、病理等の各検査担当者から、検査結果が届けられるので、それをまとめて、病因を考察し報告書を作成するのです。
その他、開発中の動物用医薬品のスケジュール管理、そのため、来週、北海道に出張する予定です。
もろもろの契約関係事務等・・・
これらの仕事をどうしょうか?
こんな状況でも仕事の事を考えているのはおかしいですか?
仕事をしている時には病気の事を忘れていられます。
確実に病気から逃げている?・・・そういう訳ではありませんが・・・
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